教える前に、見立てる。
答えを渡す前に、問う。
理科の用語は覚えたはずなのに、少し問い方が変わると手が止まる。中学生のお子様の学習で、このような場面はありませんか。
必要なのは、暗記を増やすことだけではありません。覚えた言葉を、「何が起きたのか」「なぜそう考えるのか」「条件が変わるとどうなるのか」へつなげることです。三つの問いが、理解の出発点になります。
理科には、言葉や公式を覚える場面があります。けれども、知識が一つずつ離れたままだと、新しい問題を見たときに、どの言葉を使えばよいか選びにくくなります。
お子様が止まったとき、「もっと覚えよう」と急ぐ前に、どこまでは分かっているかを確かめます。答えが合っているかより、考え始めた場所を見つけることが、次の学びを整えます。
図・実験・文章を見て、まず事実を言葉にします。「温度が上がった」「影の長さが変わった」など、観察できることから始めると、考える土台がそろいます。
答えを聞くのではなく、根拠を一つ聞きます。「図のここを見たから」「この前に習ったこととつながるから」と言葉にすることで、覚えた知識が考える材料になります。
数字、場所、温度、時間などの条件を一つだけ変えたらどうなるかを考えます。正解を急がず、「何が同じで、何が変わる?」と確かめることで、初めての問題にも取り組みやすくなります。
答えだけを確認して終える学習が続くと、お子様は「何から考えればよいか」を見つけにくくなることがあります。そこで、家庭では解説を増やすより、根拠を一つ聞く役に回ります。
「どうしてそう思ったの?」と聞かれてもすぐには答えられないことがあります。そのときは、教科書やノートのどこを見ればよいかを一緒に探すだけで十分です。
この連載でいう「学びの問診」は、お子様を診断したり、できる・できないを評価したりするものではありません。どこまで分かるか、なぜそこで止まったか、次に何を確かめるかを、親御様とお子様が短く見立てるための考え方です。
今夜の一分チェック
理科の問題を一つ見ながら、「そう思った根拠を一つ教えて」と聞いてみてください。
お子様が答えたくないときは、そこで会話を終えます。理由を求めたり、答えを待たせたりせず、「また話したくなったら教えて」と伝えてください。別の日に、お子様から開き直せる余白を残すことも、学びを支える大切な関わりです。
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医師・歯科医師の親御様のための「学びの問診」と全9話の案内は、シリーズ入口ページにまとめています。